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⼩児矯正の基礎知識1
2019.07.23
皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『小児矯正の基礎知識1』です。
「歯の矯正をするならお子さんが小さいうちに」と考えられているお母さんも多いと思います。しかし実際のところ、「なんで小さいうちがいいの?」と言われると「?」となって、詳しいことはわからないという方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。おさえておきたい情報をまとめてみましょう。
矯正するのはなんのため?
一番の目的は「歯並びをきれいにしたい」ということになります。「出っ歯」や「受け口」のせいで消極的になったり、それらを原因としていじめにあうこともないとは言い切れません。歯並びがよくなればそういった心配は減ることでしょう。矯正治療には他にもいろいろなよい影響があります。その一つはかみ合わせがよくなることです、かみ合わせがよくなると、以前より食欲が出たり、発音もよくなる例があります。かみ合わせが原因であごや頭が痛かったり、肩こりになっているのであればそれらも治すことができるかもしれません。
ほかにも歯並びがよくなることで歯みがきがしやすくなって、その結果として、むし歯や歯周病といった歯の病気に悩まされる確率も低くなります。このような矯正治療の効果を皆さんがだんだんと知るようになって、矯正治療を受けたいという方が増えてきています。矯正治療を受ける方が増えているのには、もう一つ別の背景も考えられます。
それは日本人の食生活の変化です。ハンバーガーなどのファストフードや麺類、ケーキやドーナツのようなお菓子類など、柔らかくてよくかまなくても飲み込めてしまえる食べ物がより好まれるようになりました。また塾や習い事で忙しくしている現代の子どもたちは十分な食事時間が取れないことも多いです。それらの要因が重なってかむ回数が減って、あごが十分に成長しない子供たちが増えています。見た目にはあごがすっきりした小顔の美男美女が増えた反面、小さくなったあごに、生えようとする歯が入りきらずに矯正治療の世話になっている、ということが起きているのかもしれません。
大人の矯正との違いは?
子どもの場合、まだ発育途上なので、歯の調整だけでなくあごの骨もある程度コントロール可能です。そのため治療の選択肢が増えることが大人の場合との大きな違いです。例えばあごに歯が収まりきらないときに、歯を抜くしか方法がないのか、それともあごを広げて収まるようにすることを検討できるか、というようなことです。ただし、ヒトの発育成長は、複雑で精巧な仕組みになっており、人間のちからで完全にコントロールすることは困難ですし、もちろん個人差もあります。