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学芸大学の歯医者 | 碑文谷さくら通り歯科・矯正歯科 *

脱灰と再石灰化

2022.12.28

むし歯ができてしまうメカニズムを説明しようとすると、「脱灰と再石灰化」は必ずと言っていいほど出てくる言葉なので、皆さんも歯科医院の先生からの説明を受けたときに、聞いたことがあるかもしれません。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、虫歯予防について理解するにはとても大切なので、あらためて取り上げたいと思います。

口のなかに食べ物が入って来ると、口のなかにいるむし歯菌は、食べ物のなかに含まれる糖から酸を作り出そうとします。その酸が歯の表面を溶かしていきます。
このことを「脱灰」と言い、歯が溶けているいわば「初期のむし歯」状態です。
口のなかは酸が作られているので、酸性に傾きます。

いつまでも酸性状態だと歯はどんどん溶けていってしまうのですが、ここで唾液が登場します。
唾液のなかに豊富に含まれるカルシウムやリン酸が脱灰によって失われた部分を修復してくれるのです。
自力で歯を元の状態に回復しているのです。これを再石灰化と言います。唾液は酸を中和する働きもあるので、口のなかの状態も中性に近づいていき、脱灰状態から復帰します。

このように私たちが食べ物を食べるたびに、口のなかでは脱灰と再石灰化が繰り返し起きているのです。
この脱灰と再石灰化が交互にバランスよく行われていれば、歯はむし歯にならず、健康な状態を保つことができます。
しかし、甘いものを多く摂ったり、長い時間、口のなかに食べ物が入っている状態が続いたりして、脱灰の方が多くなると、再石灰化による歯の修復が追い付かなくなり、やがて歯に穴が開いてしまい、むし歯になってしまいます。
反対に酸を作るもととなる糖分を控えめにして、食事の時間もきっちり区切れば、再石灰化の方が多くなって、歯はより強く丈夫になります。

むし歯の予防では、脱灰と再石灰化のバランスを取ることが大切であることがおわかりいただけたと思います。
脱灰を少なくし、再石灰化を促進する具体的な方法として、以下のようなことを行うことをおすすめします。
・甘いものをたくさん食べない、・間食を減らす、・だらだら食べをしない、・ブラッシングで歯垢を落とし、むし歯菌の活動を抑える、・よく噛んで唾液の分泌を増やす・・・。

脱灰と再石灰化のサイクルから考えると、食後の歯磨きのタイミングも考えて行うと、より良いかもしれません。食後すぐの歯磨きだとまだ口のなかが脱灰の状態で、歯の表面もまだ溶けやすい状態だと言えます。歯ブラシでこすられて、削れてしまうおそれもあります。食後すぐよりもむしろ、30分から1時間くらい後の方が口のなかは中性に近づいて、より安定した状態だと言えるかもしれません。

むし歯ができてしまうメカニズムとして、脱灰と再石灰化のバランスが深く関係していると理解できれば、日ごろのむし歯予防にそれぞれどんな意味があるかわかってくることも多いと思うので、いっそうむし歯予防に身が入ることと期待します。

 

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