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シーラントで奥歯をガード
2023.06.09
あまり見ることはないと思いますが、奥歯の上の面は深くて細かい溝がたくさん走っていて、歯磨きだけではその汚れを完全に取り除くことは難しく、むし歯菌がたまりやすい構造になっています。今回はそんな奥歯のむし歯を防ぐのに役立つシーラントをご紹介します。
奥歯は、お口のなかに入ってきたさまざまな大きさ・形、固さの食べ物を噛み砕いたり、すりつぶしたりして、内臓での消化・吸収をしやすくしてくれています。
ものを噛むとき、奥歯にかかる力は、自分の体重とほぼ同じくらいの大きな力で、奥歯を1本失うと、ものを噛む力は40%近くも低下するといわれています。
そんな奥歯がむし歯になることは大損害なのですが、すでに述べたように奥歯はむし歯になりやすい特徴を持っています。
そのなかでも乳歯や、生え始めの永久歯は、まだやわらかく、表面の一番硬い層であるエナメル質の厚さも、大人の永久歯に比べて薄い状態で、歯の質も弱く抵抗力がないため、むし歯になりやすい傾向があります。
とくに6歳ごろから生えるため「6歳臼歯」とも呼ばれる「第一大臼歯」にはいっそうの注意が必要です。
その生える時期はまだお子さんが上手に歯磨きができる年齢でないこと、噛む部分の溝が深く食べ物がたまりやすいこと、虫歯になりやすいと言われる生え始めから生え終わりまでの期間が長いこと、などがその理由です。
6歳臼歯をはじめとして、奥歯、特に乳幼児期の奥歯のむし歯予防に有効な方法がシーラントです。
シーラントは、まず奥歯の溝やくぼみをきれいに掃除をして、再び溝に菌がたまらないように、プラスティック質やセメント質の材料で埋めるという処置です。
歯を全く削ることなく、きれいに掃除をして埋めるだけなので、痛みもなく簡単な処置で、治療費も高 いものではありません。
むし歯予防の基本はもちろんブラッシングですが、奥歯の深くて複雑な溝を埋めてあるので、歯磨きもしやすくなります。
簡単で効果も高いシーラントですが、処置後3~6ヶ月で自然に取れてきます。定期的に歯科医院で検診を受けてチェックしてもらって、取れてしまっている場合には、再度シーラントの処置を施す必要があります。
また、シーラントが予防できるのは歯の咬合面だけなので、歯と歯ぐきのすき間や歯と歯の間の汚れはブラッシングで取り除く必要があることは、通常のケアと変わりありません。
奥歯のむし歯予防にはその有効性が確かなシーラントですが、シーラントさえしておけば、むし歯を完全に防げるという類のものではありません。
毎日のブラッシングやフッ素塗布、歯科医院での定期健診などのケアの一環として行う
ことで、より丈夫でむし歯に強い健康な歯を保ちたいものです。