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乳歯の短い人生 1
2023.11.24
乳歯はヒトの一生や、永久歯の生えている年数と比べるととても短命です。しかし永久歯の健全な発達や歯並びなどに大きく影響するなど、その役割はとても重要です。乳歯の一生とはどのようなものでしょうか。
ヒトの場合、生後6か月ほど経つと乳歯が生え始めますが、その準備はお母さんのお腹のなかにいるときから始まっています。
乳歯の芽ともいえる「歯胚」が最初にでき始めるのは妊娠6週目くらいからで、妊娠2~3か月にはすべての歯胚が作られます。
そして4~6ヶ月ころには、石灰化が始まりほぼ準備OKといった状態になっています。
生まれてから6か月ほどで乳歯が生え始めます。一般的にはまず乳中切歯と呼ばれる下の前歯が生えてきます。
乳歯は全部で上下20本となりますが、乳中切歯から奥に向かって、乳側切歯、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯と並んでいて、2歳半から3歳くらいまでに生えそろいます。
乳歯の特徴は軟らかさで、エナメル質や象牙質が永久歯に比べて、半分程度の厚みしかありません。再石灰化の速度も遅く、加えて食べかすがたまりやすい、歯磨きも十分にできないことなどから、むし歯になりやすいと言われています。
乳歯といえども、仕上げ磨きを習慣化してかつ丁寧に、さらにフッ素塗布をするなど予防に力を入れてあげましょう。
軟らかいという特徴はむし歯になりやすい反面、アゴの形成においてはその軟らかさが重要な役割を果たします。アゴの成長に合わせて歯がすり減って、程よいかみ合わせに調節し、アゴの形を自然なものにしてくれます。
乳歯の段階で歯並びが悪いということはまずありません。遺伝子に生える位置の情報が書き込まれているからです。
永久歯は妊娠中の段階から乳歯の下に作られていて、やがて、その乳歯の根を道しるべにして永久歯が生えて来るという仕組みになっています。
乳歯のむし歯がひどくなれば、乳歯の下にいる永久歯のエナメル質や象牙質に影響が出るかもしれません。
さらに乳歯を抜歯してしまうようなことになると、道しるべを失った永久歯があらぬ方向に育っていくこともあり得ます。
永久歯が健康にきれいに並んで生えるためには、乳歯はとても重要なのです。