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動物たちの歯について
2025.05.01
こんにちは、学芸大学の歯医者 碑文谷さくら通り歯科 院長の太田です。
歯科医師になって26年、これまでの数多くの症例を見てきた中で今回は動物たちの歯について書いていきます。
乳歯は妊娠6週目位からお母さんのお腹のなかで「歯胚」として生まれて、その人生をスタートさせます。
われわれ人間以外にも歯を持っている動物は数多くいます。そして、それぞれの食べ物によって、その形や本数、生え方はさまざまで、特徴の一つとなっています。
そこで今回は動物の歯を見ていきたいと思います。そのなかで特に今回は脊椎動物の歯について書いていきます。昆虫にも口のところに歯のようなものがありますが、これらは外骨格の一部で、歯とは分類されないそうなので、今回は触れないこととします。
歯の主要な機能は食べ物を咀嚼することですが、他にもいついろな役割があります。
獲物を捕まえる、敵を攻撃したり身を守るための武器、物をくわえて運ぶ、生殖行為に補助的に使う、などです。

生命を維持するうえではとても重要で大切なものといえるでしょう。
人間の場合は、これらとは別に発音のためにも重要ですし、きれいな歯だと好印象を与えるといった審美的な意義も少なくありません。
それらの機能を効率よく果たすために、それぞれの動物が特徴的な歯を持っています。
脊椎動物はいくつかの仲間に分けられます。そのなかで我々人間も分類される哺乳類の歯については、その多くが二生歯性と異形歯性という特徴を持っています。
二生歯性とは、乳歯と永久歯と二世代あって歯が生え変わること、異形歯性というのは、歯の数が決まっていて、大きさや形のちがう歯で構成されているということです。
これに対しワニなど爬虫類の多くは、多生歯性(一生の間に何度も歯が生え変わる)、同形歯性(同じ形の歯が並んでいる)という特徴があります。
また鳥類については、歯がありません。しかし、代わりとして、砂や小石を入れた筋肉性の砂嚢(さのう=砂の入った袋)を持っていて、食べ物をある程度砕いてから胃に送っています。
両生類・魚類も爬虫類同様、多生歯性・同形歯性の歯を持つ種類が多いそうです。両生類で代表的なカエルは、上の歯だけあって、下の歯はありません。
魚類の多くは歯を持っていますが、それぞれの餌の種類と取り方に合わせて変化しています。ブランクトンや小魚など小さいものをえさにしているイワシやカツオなどは小さい歯しかもっていませんし、餌を食いちぎるタチウオは牙状の歯、苔を食べるアユは櫛形の歯、金魚やコイは歯はないけれど、喉の奥にある咽頭歯が代わりの役割をする、といった具合です。
哺乳類に戻ると、肉食が草食かによって特徴が分かれますし、さらに食べ物によって不思議な歯を持つ動物もいます。
碑文谷さくら通り歯科
院長 太田 彰人
日本歯周病学会 認定医
日本顎咬合学会 認定医
かみ合わせ認定医
厚生労働省認定研修指導医
歯学博士

