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マウスピース
2025.08.01
こんにちは、学芸大学の歯医者 碑文谷さくら通り歯科 院長の太田です。
歯科医師になって26年、これまでの数多くの症例を見てきた中で今回はマウスピースについて書いていきます。
マウスピースと聞いて、なにを連想するかは人ぞれぞれかもしれません。
スポーツの中継などでよく見かけるようになったスポーツ用マウスピース、吹奏楽の経験のある方でし
たら、口をつける歌口、吹口のパーツ、胃カメラを呑み込むときに咥えるあれ、歯の矯正治療にも使われますし、睡眠時無呼吸症候群の治療にも用いられます。今回は歯科用マウスピースについてのコラムとなります。

歯科用マウスピースといっても、大きく分けて矯正用と歯ぎしり・食いしばり対策用とあります。そのなかで今回は歯ぎしり・食いしばり対策用を中心に進めます。
ちなみに歯科医院では口腔の専門家だけあって、胃力メラ用や吹奏楽用は取り扱いませんが、それ以外のマウスピースは対応可能としているところが多いです。
さて、歯ぎしり・食いしばり対策用のマウスピースですが、こちらは夜間、睡眠中に装着するものです。
歯ぎしり・食いしばりの癖のある人は、自覚症状がないまま、睡眠中に歯ぎしり・食いしばりの癖(ブラキシズム)が出ますが、周囲に寝ている人に迷惑をかけるだけでなく、強い力で噛みしめるので、自身の歯やあごに悪影響を与えています。
歯の摩耗、歯周組織の損傷、歯がグラグラになる、被せものが欠けたり、取れたりする、顎関節症、耳鳴り、睡眠障害、頭痛、肩こり、自律神経失調症⋯などの症状が出てしまうのです。
ブラキシズムの原因は、日常のさまざまなストレスと、あごの筋肉の緊張のアンバランス⋯むし歯など
で歯が痛いとき、高さの合わない被せものがあるとき、嘱み合わせが悪いとき⋯などと言われています。
これらの原因を取り除ければブラキシスムも治るかもしれませんが、ストレスを取り除くのは容易では
ないでしょうし、時間がかかることもあります。
マウスピースは装着することで、歯や顎に加わる力を緩和することができます。通常は硬いアクリル樹
脂で製作し、上あごに装着します。
下顎が動いて強く噛みしめようとしても滑って力が分散しやすくなりますし、噛みこんだとしても歯の
代わりにアクリル樹脂が削れます。
マウスピースは市販もされていて、インターネットなどからも購入することができます。市販のもの
は、お湯で柔らかくし、歯に合わせていくタイプのものなどがあります。
歯科医院で作る場合は、歯型を取って、歯や顎の大きさに合ったオーダーメイドのマウスピースを作成
します。
市販のマウスピースをフィットさせるのはむずかしいですし、合っていないものを装着すると、悪影響
がでることもあります。
ブラキシズム対策としてのマウスピースは、ブラキシズムを治すことはできませんが、症状を緩和して
くれるだけでも多少はストレスを解消してくれるでしょう。
碑文谷さくら通り歯科
院長 太田 彰人
日本歯周病学会 認定医
日本顎咬合学会 認定医
かみ合わせ認定医
厚生労働省認定研修指導医
歯学博士

