こんにちは、学芸大学の歯医者 碑文谷さくら通り歯科 院長の太田です。
歯科医師として26年、親知らず(智歯)の相談を年間を通じて多数お受けしています。
「この痛みは抜くサイン?」「放置しても大丈夫?」「抜歯は怖いし腫れるのが心配…」——そんな不安に、臨床の視点から丁寧にお答えします。抜く/抜かないの判断軸、腫れを最小限にする準備、術後のセルフケア、費用の目安まで、地域の方が迷わないための実践ガイドです。初診の流れは初めての方へをご覧ください。
目次
親知らずを抜く・抜かないの判断基準
判断の柱は「症状」「位置」「清掃性」「将来リスク」の4つです。
症状:痛み・腫れ・口が開きにくい・変な匂い・嚥下痛・発熱などが反復するなら要検討。
位置:斜め・水平・半埋伏は清掃困難でトラブルを起こしやすい。上顎は副鼻腔との距離、下顎は下歯槽神経との位置関係を確認。
清掃性:隣の第二大臼歯の遠心部にプラークが溜まりやすいと、むし歯や歯周炎の温床に。
将来リスク:矯正や補綴の計画、妊娠・留学・受験・就職など生活イベントの前後で腫れを起こすと困る場合は、安定期に計画的な抜歯が得策です。基礎情報は口腔外科ページもご参照ください。
抜歯を勧めるケース:その理由と放置リスク
- 反復する周囲炎(智歯周囲炎):腫れ・痛み・口臭を繰り返す。
- 手前の大臼歯のむし歯・歯周病の温床:清掃が届かず第二大臼歯が傷む。
- 水平埋伏で圧迫:隣の歯を押す、嚢胞形成リスク。
- 矯正・補綴の障害:歯列の維持や噛み合わせ設計の妨げ。
放置すると骨内に感染が広がる、口が開きにくい(開口障害)、発熱やリンパ節の腫れを伴うことがあります。初期なら洗浄と薬で落ち着かせられますが、反復するなら根本対応(抜歯)を検討しましょう。むし歯・歯周病の併発がある場合は、虫歯治療や歯周病治療と並行で原因を断つことが重要です。
抜かない選択をするケース:経過観察のポイント
完全埋伏で、周囲に嚢胞や骨の溶解がなく、清掃性に問題がない場合は、経過観察を選ぶこともあります。この場合のポイントは、定期的なレントゲン評価と、手前の歯の清掃性を高める器具の選定です。ワンタフトや歯間ブラシの使い方は予防歯科でお伝えします。将来的に矯正・補綴を検討する可能性がある方は、方針が変わることも想定しておきましょう(矯正治療/やり直しの少ない治療)。
当院の診断プロセス:レントゲンとCTで可視化
まずは問診と視診、開口量・嚥下痛の有無、炎症の程度を評価。次にパノラマレントゲンで全体像を把握し、神経・血管・上顎洞との距離の把握にCTを併用します。角度・深さ・根の曲がり、骨の密度を立体で確認することで、外科難易度・術式・所要時間が明確になります。難症例では口腔外科と連携し、安全域を最優先に計画します。初診の導線は初めての方へをご確認ください。
痛みと腫れを最小限にするための事前準備
- 炎症を鎮めてから:急性期の強い腫れは先に洗浄・薬物療法で落ち着かせます。
- 生活リズムの調整:喫煙・寝不足・ストレスは治癒を遅らせます。前後数日は整えて。
- 食事の準備:柔らかい食事、常温~やや冷たい飲食物を用意。ストローは陰圧で出血が増えるので避ける。
- 服薬・持病の確認:抗凝固薬や糖尿病などは主治医と連携。安全第一で段取りします。
術後管理を想定したメインテナンスのリズムは、メインテナンスのページで詳しく解説しています。普段から“通える導線”を作ることが、術後合併症を減らす近道です。
実際の抜歯の流れと所要時間の目安
- 麻酔:表面麻酔+局所麻酔で痛みに配慮。
- 切開・剥離・分割:埋伏度に応じて歯を分割し、骨へのダメージを最小限に。
- 抜去・洗浄:感染源を除去し、周囲を洗浄。
- 縫合:出血コントロールと創面保護。
所要時間は萌出位置や根形態で異なりますが、単純抜歯で10〜20分、埋伏で30〜60分が目安です(診査・説明・止血確認の時間を除く)。難易度が高い場合は分割して安全に進めることもあります。術式や時間は事前にしっかりご説明しますのでご安心ください(詳細は口腔外科)。
術後の過ごし方Q&A(食事・入浴・運動・お薬)
- 食事:当日は刺激物・熱いものを避け、やわらかい食事を。翌日から徐々に通常へ。
- うがい:強いうがいは血餅(かさぶた)を外すため厳禁。軽く口をすすぐ程度に。
- 運動・飲酒・入浴:当日は控えめに。血流が増える行為は腫れを助長します。
- お薬:処方どおりに内服。痛みが軽くても抗菌薬は中断せず飲み切る。
- ブラッシング:創部は避け、それ以外は丁寧に。デンタルフロス・歯間ブラシは医師の指示に従って再開。
不安が強い方は、通院時に術後のセルフケアを一緒に練習しましょう。ホームケアの基本は予防歯科のページで解説しています。

費用の目安と透明性、難症例の連携体制
親知らずの抜歯は多くが保険適用ですが、難易度や画像検査の内容によって費用が変動します。概算の目安は価格表をご覧ください。神経に近い、重度の埋伏、骨の形態が複雑などは、口腔外科と連携して安全第一で対応します。症例のイメージは症例紹介も参考にしてください。
親知らずが他の歯に与える影響(むし歯・歯周病・歯並び)
親知らず自体よりも問題なのは、隣の第二大臼歯が傷むこと。遠心部のむし歯は気づきにくく、進行して根管治療や被せ物が必要になると時間・費用・負担が大きくなります(関連:虫歯治療)。また、清掃困難な環境は歯周炎の温床になり、歯ぐきの腫れ・出血・口臭・骨吸収を招きます(関連:歯周病治療)。
歯列や噛み合わせに影響が及ぶケースもあります。スペースの不足、舌癖、口呼吸、歯ぎしりなどが重なると、噛み合わせのバランスが崩れ、補綴の破損や咬合痛につながることも。必要に応じて矯正治療で全体を再設計し、やり直しの少ない治療へと繋げます。仕上がりのイメージは症例紹介をご参照ください。
まとめ:怖さを“準備と計画”で小さくする
親知らずの抜歯は、診断・準備・術式・術後管理の全工程を丁寧に設計すれば、腫れや痛みの不安を確実に小さくできます。学芸大学・碑文谷エリアで親知らずにお困りの方は、まずは初めての方へをご覧いただき、症状やご事情をお知らせください。併発しやすいむし歯・歯周病は、虫歯治療・歯周病治療と並行して根本対応。術後はメインテナンスで再発防止を徹底し、費用の目安は価格表で事前に確認可能です。
碑文谷さくら通り歯科/学芸大学駅 徒歩圏
院長 太田 彰人
日本歯周病学会 認定医/日本顎咬合学会 認定医/かみ合わせ認定医/厚生労働省認定研修指導医/歯学博士
